新型コロナウイルスでのマスク不足について。新型コロナウイルス生存期間。BSL-4。2020年02月28日

2020/3/19 追加訂正。2020/3/23追加。2020/4/18追加訂正。2020/4/30追加。2020/05/12追加訂正.。2020/5/19追加。

インフルエンザ流行時最大でも国内必要量は週1億枚という。5億枚に増やしてもなお足りないという。どこかで余分にストックや買い占めがあるとしか考えられない。
皆が昔に戻って手作りマスクにすれば直ぐにでも解消するのではないかと思う。サージカルマスクというが効果は変わらない。
https://www.meti.go.jp/covid-19/mask.html

マスクは、#手作りマスク で十分だ。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020022700195&g=soc

一般のマスクは飛沫・花粉しかブロックしてくれない。サージカルマスクも同じだ。N95マスクでさえウイルスは完全にはブロックしない。ブロックしてくれるのは大きな花粉を含めた飛沫のみだ(飛沫の中に含まれるものがブロックされるので、無意味ではない)。(花粉症に関しては厳密に言うと特にシーズン後半は花粉の破砕微粒子が多くなるので要注意である)。(但しウイルスがブロックされないことと感染成立とはイコールではない)。

各々の大きさは下記の通り。
飛沫:咳・くしゃみ等で1-2m以上飛ばないレベルの大きさ?(マスクなしでは6m飛ぶものもあるという)
飛沫核:実は物理的大きさの定義は未だない。(空気感染=飛沫核感染と同意。)
花粉:30-300μm。細菌:0.5~5μm。ウイルス:0.3~0.03μm
使われているフィルターは、
HEPAフィルター:0.3μm以上を99.9%ブロック
N95マスク:0.3μmを95%以上ブロック(0.3μ以下も含むとも言うがいずれにしても完璧ではない) →(2020/05/12追加訂正分を参照)

エアロゾルの定義は全く別だ。Wikipediaでは、ゾルは分散煤が液体だがエアロゾルは空気であると書いてある。:
日本エアロゾル学会は0.001μm~100μm程度、金属ヒュームも含み幅広い。PM2.5などの浮遊粒子状物質(SPM)も含むことになる。
IUPAC Gold book(国際化学用語集)では、Aerosol (https://doi.org/10.1351/goldbook.A00176) Sol in which the dispersed phase is a solid, a liquid or a mixture of both and the continuous phase is a gas (usually air). と書いてある。
 日本の法令上では、粒子状物質の定義はないが浮遊粒子状物質(SPM)の定義は10μm以下という。https://www.erca.go.jp/yobou/taiki/taisaku/01_02.html

(追記) 
※「高齢者介護施設における感染対策マニュアル改訂版(2019年3月)」(厚労省)の中で、「飛沫」は5μm以上、「飛沫核」は5μm未満と定義していた。(いずれにしても「空気感染=飛沫核感染と同意」、この定義はもう少し厳密にする必要性が出てくるようだ。)

※※ 新型コロナウイルスの詳細はなお未知であるがインフルエンザの場合は、インフルエンザ抗原検査のために医療者が鼻咽腔粘液を採取するときは、細い綿棒を鼻の奥まで入れて綿棒をくるりと回して細胞ごとこそぎ取るように粘液採取しなければ感度・特異度の高い検体は採取できない。従って正確にしようとすると患者にとっては評判が悪い、検者にとってはくしゃみを吹きかけられたりして感染リスクが高い。しかし両者にとって意味ある検査にするためには‘ここが大事‘ なのである。
ダイアモンドプリンセス号では日本人はまだしも理由を理解できない場合は平気で拒否する西洋人にとっては説得が難しかったことが推定される。検査者にとっても気の毒であったろうと思う。

※※※ N95マスクについて: 
新型コロナ感染症では2つの問題がある。第1はN95マスクは細菌レベルをブロックするものでウイルスはブロックできない。第2はそもそも使ったことがある方ならすぐ分かるが安静状態でも息苦しくなり30分も持たない。ましてや激しく動き回れば換気量は10数倍になり息苦しくて5分も持たない。健康人は安静時では3~5ℓ/分の換気で済むが、動き回れば必要換気量は倍増する。マスクなしなら換気能力は20倍(100~120ℓ/分)までの余力はあるがN95マスクを着ければ吸気抵抗が加わり、ポンプで強制換気装置を付けない限り無理である(PAPRならば実用的、但し高価)。息苦しくなりマスクを外せば無意味になる。フィットテスト以前の問題である。即ち使うとしてもウイルスの場合は使用機会は極めて限定的であるということである。結核菌排菌患者に対するときは良く使われているし、理屈も通っている。

※※※※ 検査検体の良し悪し:
  下記に依れば、新型コロナウイルスの場合もインフルエンザの方法を準用して良いようなので特殊の場合を除けば鼻咽腔採取が基本だ。「2019-nCoV (新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル」<2020/02/24更新> 
https://www.niid.go.jp/niid/images/pathol/pdf/2019-nCoV_200224.pdf
細い綿棒を鼻から奥の鼻咽腔まで衝き入れて綿棒をくるりと回して細胞ごとこそぎ取るように粘液採取することによって感度・特異度の高い検体を採取するということである。

※※※※※ インフルエンザも新型コロナウイルスも検査検体採取は「鼻咽頭が最も良い」、という文献等について:
https://www.niid.go.jp/niid/images/pathol/pdf/2019-nCoV_200224.pdf (国立感染症研究所)
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2001737 (nasopharynxの方がoropharynxより感度良い)
https://doi.org/10.1101/2020.02.11.20021493 (nasal swabs の方がthroat swabsより感度が良い。但しnasopharynxかどうかは不明、現場感覚がない著者ためのと思われる。)
https://doi.org/10.2974/kmj.50.503 (これはインフルエンザの場合)
今朝(2020/3/19)のニュース映像で韓国が新型コロナのドライブスルー検体採取を行っていたが、口腔スワブ影像と経鼻採取映像が混在していた。日本では再近の映像では経口採取の映像は出ない。国立感染症研究所の推奨手法が徹底されてきているようだ。
いずれにしても無視できないほどの偽陰性がかなりあることは確かである。検査結果は単なる目安であることを認識して現実対応すべきである。より感度の高い検体採取の部位と手技の開発が必要のようだ。

(2020/03/23 更に追記)
 新型コロナは自然環境でどの位生きているか?

インフルエンザや新型コロナウイルスは自然環境では長く生きられない。一般に2―3時間と思い込んでいが、まずofficalにはどうなっているか、改めて調べてみたが意外と根拠薄弱だった。WHOは2-3時間かそれ以上、と大雑把に目安を示している。(2020/2/21の時点)。
厚労省では、
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/02.html#40
新型インフルエンザに関するQ&A(「2009年~2011年限定の厚労省参考資料」)。
Q5. 新型インフルエンザは環境中でどれくらい生きていられますか。
ウイルスは細菌と異なり、生物の中でのみ増殖するため、環境中では状況によって異なりますが、数分間から数時間内に感染力を失うと言われています。しかし、環境中でどれくらい生きているのかといった科学的なデータは一定ではありません。

WHOでは、
https://www.who.int/news-room/q-a-detail/q-a-coronaviruses
How long does the virus survive on surfaces?
It is still not known how long the 2019-nCoV virus survives on surfaces, although preliminary information suggests the virus may survive a few hours or more. Simple disinfectants can kill the virus making it no longer possible to infect people.

念のために下記を追記しておく(2月26日)。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus.html
新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(2020年2月21日改訂版) 2019nCoV-01-200221.pdf の通り、下記の暫定データの公式見解が出ている。 
「3 環境整備
・環境中における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の残存期間は現時点では不明である。他のコロナウイルスに関しては、20度程度の室温におけるプラスチック上で、SARS-CoV では6~9 日、MERS-CoV では48 時間以上とする研究がある。
・インフルエンザウイルスA(H1N1)pdm09 の残存期間は数時間程度であり、SARS-CoV、
MERS-CoV はインフルエンザウイルスに比較して残存期間が長い。SARS-CoV-2 についてもインフルエンザウイルスに比較して環境中に長く残存する可能性があり、医療機関や高齢者施設、不特定多数が利用する施設内、濃厚接触者の自宅においては、アルコール清拭による高頻度接触面や物品等の消毒の励行が望ましい。」



 以降、2020/3/23の時点の追加:
○Aerosol and Surface Stability of SARS-CoV-2 as Compared with SARS-CoV-1   https://doi.org/10.1056/NEJMc2004973 、では、新型コロナウイルスは5μm未満エアロゾル中で3時間以上・プラスチック表面では72時間以上・ステンレス表面では48時間以上・感染力を保っていて、一方銅表面では4時間以内、厚紙上では24時間以内に感染力がなくなるという。
Persistence of coronaviruses on inanimate surfaces and their inactivation with biocidal agents.  G. Kampf et al. / Journal of Hospital Infection 104 (2020) 246e251. https://doi.org/10.1016/j.jhin.2020.01.022 はSARSウイルスではmax9日間感染力を保ったと言う。論文による違いもある。

○新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス学的特徴と感染様式の考察  No.5004 (2020年03月21日発行) P.30 白木公康(千里金蘭大学副学長,富山大学名誉教授 医学部)
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14278 、新型コロナに効くというアビガンを開発した方の意見。
インフルエンザウイルスも従来の4種のコロナウイルスも、乾燥すると、感染力を失う。普通は飛沫でも2m離れていれば落下するか乾燥して飛沫核になり感染力を失うという。換気や除湿は乾燥化に有効である。
 しかし湿度が高いと乾燥せず、新型コロナウイルスは浮遊粒子の中で数分から30分感染力を保持するという。   
 従って、密閉空間・密集・密接・の3条件下が揃えば当然空気感染も起こし得るとも言える。 新型コロナの「乾燥への弱さの違い」もキーワードになるか?

 確かに昭和の時代より空気感染をするとされる、結核・麻疹・水痘の3つ、その内結核菌は紫外線には弱く日光で20~30分で死滅するが、乾燥には極めて強く冷暗所では分裂はしないが数か月間生きていて感染性を保つ。公的にはこの3つ以外は空気感染をするとは未だに言わないようだ(麻疹ウイルスやVZVも乾燥に強いのだろうか?)。
 空気感染の定義はより厳密にしなければならない時代になってきているようだ。

§ 最高度のBSL-4実験施設について、
 https://www.ccpid.nagasaki-u.ac.jp/bsl4/about/
長崎大学はBSL-4施設について、WHOの基準を遵守しており安全と保障している。
WHOの“LaboratoryBiosafetyManual2004年第3版は「HEPAフィルターは、直径0.3μmの粒子は99.97%、直径0.3μmより大きいか、より小さいサイズの粒子を99.99%捕捉する。これは事実上、HEPAフィルターがすべての既知の病原体を効果的に捕捉することを可能にし、無菌の空気だけがキャビネットから放出されることを保証する。」という。
耐震基準、廃液処理等は理解できるが、HEPAフィルター等で安全と言っているがこの点は少し気になる。それに加えてフィルター通過した空気の紫外線滅菌等にも配慮されている、とでもあれば更に納得できるのだが。

§§ アメリカではマスク不要論もある中で勇気を与えてくれる論文:
Takayuki Miyazawa(宮沢 孝幸)@takavet1
マスク武装根拠はここに。これで反マスク派からエビデンスはと言われた時、論破できる?これから読みます! ・・・controversialな問題の為に消去されて下記に変更(R2.4.9.)。
COVID-19: WHY WE SHOULD ALL WEAR MASKS — THERE IS NEW SCIENTIFIC RATIONALE
( https://medium.com/@Cancerwarrior/covid-19-why-we-should-all-wear-masks-there-is-new-scientific-rationale-280e08ceee71  )

(更に下記追記R2.4,13.)
更に調べてみたら、Professional and Home-Made Face Masks Reduce Exposure to Respiratory Infections among the General Population. (van der Sande M, Teunis P, Sabel R (2008) Professional and Home-Made Face Masks Reduce Exposure to Respiratory Infections among the General Population. PLoS ONE 3(7): e2618. doi:10.1371/journal.pone.0002618)
https://journals.plos.org/plosone/article/file?id=10.1371/journal.pone.0002618&type=printable
があった。概略下記の如くである。
<手作りマスクとサージカルマスクの防御効果の違いについては大凡、手作りマスク40%・サージカルマスク21%・N95マスク1%、まで低下して防御する、単なる目安だがこの程度の違いはあるようだ(別の資料by S.Huangではそれぞれ33%・25%・1%)。2/3防ぐか4/5防ぐか、この違いを大きいと受取るか小さいと受取るか、立場によって違う。(20mμ~1μ径のエアロゾルでのオランダの実験)。因みに風邪を引いている場合は逆にマスクをしていても自分の顔をそむけて咳をしないで相手に向かってすると相手が危険になる。予想外に外に向かっての防御効果は弱いという結果だ。
これは空気感染を起こす極微粒子の実験なので、手作りマスクでも60%防ぐという結果は、驚くべき効果があることを示している。実際には目に見える大きな飛沫まで咳くしゃみで出るのでその防御効果は絶大である。但し、これは外からの飛沫・飛沫核から自身をを防ぐ場合で、逆に自分が飛沫核を出す場合はマスクで防ぐ効果はそれほど良くないという結果だ、即ち飛沫は抑えても飛沫核はあまり抑えられないで出て行ってしまうということ。マスク過信の弱点である。>

  <次の情報もマスクを過信しすぎると逆に危険とも言っている。
山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信 飛沫やエアロゾルでのウイルス検出とマスクの効果https://www.covid19-yamanaka.com/cont4/14.html
Leung et al, Respiratory virus shedding in exhaled breath and efficacy of face masks. Nature Medicine 4月3日オンライン版  (コメント)実際の患者の協力で、マスクの効果を科学的に解析した貴重な研究。患者の飛沫やエアロゾル内のウイルスが検出され、飛沫感染やエアロゾル感染の可能性が指示された。一方で、患者の2/3では飛沫やエアロゾルでウイルスが検出されず、他人への感染性は患者により異なる可能性が示唆される。コロナウイルス感染者では、マスクにより飛沫やエアロゾルへのウイルス排出が抑制できることが示唆された。本研究は普通感冒の原因のコロナウイルスが対象であるが、新型コロナウイルスにおいても、マスクの同様の効果が期待できる可能性がある。(コメントここまで)。
  言い方を変えると、普通風邪のコロナウイルス感染患者がマスクをしても過信して相手に向かって咳をするのは失礼ということになる、相手から顔をそむけて咳をする、これ意外と大事。
  また、たとえN95マスクを使ってもそれだけでは「頭隠して尻隠さず」で、ましてや息苦しくなり少しでも外せばサージカルマスクより却って劣ってしまいかねない。N95マスクはまさに特殊な場合にのみPAPRを含めて使う意味がある。https://www.kansashealthsystem.com/-/media/Project/Website/PDFs-for-Download/COVID19/PPE-Recommendations-Schematic.pdf、>
2020/5/19追加。
症状がない人もマスクをつけるべきか?  忽那賢志 4/26(日) 14:02
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200426-00175324/
、今回の新型コロナ対策でWHOや米国CDCのマスク不要論一辺倒から、西欧に於いても180度方針が変わってきつつあるようだ。


(R2.4,18.下記追加)
§§§非常事態宣言が出された「新型コロナウイルス」の感染成立の可否について、
ZD Guo et al. Aerosol and Surface Distribution of Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 in Hospital Wards, Wuhan, China, 2020. CDC Emerging Infectious Diseases Journal. Volume 26, Number 7—July 2020
https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/7/20-0885_article?fbclid=IwAR3JATR4eQoQcxLIMb-dHk4JL2Ww17d7nGYfwhxjojkae7J3L5BJA7zZv3c  この論文によれば、現実を考えるとサージカルマスクで対応している医療スタッフは高頻度に新型コロナ抗原に暴露されていることになる。このデータと、現在のインフルエンザ対応と同じ新型コロナ対応において医療スタッフの感染成立が極めて少ないという事実とを比較した場合、暴露ウイルス抗原の大部分がviableでないであろうことは容易に推定される。一般にウイルス感染成立には単なるウイルス量の問題だけではなく、そのウイルス量の何割が感染力を保持しているかにも関係するという。不活化した新型コロナウイルス抗原に暴露されていれば、逆に一定の期間が経てば自然免疫も獲得する可能性もある。とすれば自然のワクチン効果とも言える。今後の抗体の事後サーベイランスでまもなくはっきりしてくると思われる。 新型コロナウイルスの感染力の有無の違いが出る条件は何なのかについて調べてみた。

<①「インフルエンザの不顕性感染者が感染源となる頻度」、日本医事新報No.4715 (2014年09月06日発行) P.66、高橋和郎 (大阪府立公衆衛生研究所副所長・感染症部長)、という文献がある。インフルエンザウイルスは安静呼気中にも出ているが、そのうちの何割がどういう条件で何時まで感染力を保持するかは必ずしも明確ではない。濃厚接触等の条件が揃えば空気感染も起こり得る。実験的には感染成立のためのウイルス量は吸入に比べて鼻腔滴下では100倍量のウイルスが必要という。
②Fabian P, et al. (2008) Influenza Virus in Human Exhaled Breath: An Observational Study. PLoS ONE 3(7):e2691.  https://doi.org/10.1371/journal.pone.0002691  
この文献では安静時呼吸でもインフルエンザ患者の呼気中の5μ以下の飛沫核の中にインフルエンザウイルスが認められる(PCR検査なのでウイルス活性の有無は不明)。
③Wells WF. On air-borne infection: study II. Droplets anddroplet nuclei.Am J Epidemiol1934; 20: 611–618.このWells理論によれば、口鼻から飛び出た飛沫核は瞬時に揮発し、湿度が高くても瞬時という。
④How far droplets can move in indoor environments--revisiting the Wells evaporation-falling curve. Xie X1, Li Y, Chwang AT, Ho PL, Seto WH.  Indoor Air. 2007 Jun;17(3):211-25. https://doi.org/10.1111/j.1600-0668.2007.00469.x 、この文献もWELLS理論を検証して湿度が低いほど飛沫核は多くなるとしている。咳で出る飛沫核3000個位は会話5分間でも同様に出ているという。
⑤Hemmes JH, Winkler KC, Kool SM Virus survival as a seasonal factor in influenza and poliomyelitis. Nature. 1960;188:430–1 https://doi.org/10.1038/188430a0 、によれば、湿度が低い方がより長時間感染力を保持するという。
⑥緊急寄稿(1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス学的特徴と感染様式の考察
日本医事新報社No.5004 (2020年03月21日発行) P.30 白木公康(千里金蘭大学副学長,富山大学名誉教授 医学部) https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14278 、  このアビガンを開発した方の意見では、インフルエンザウイルスも従来の4種のコロナウイルスも、一般に乾燥すると感染力を失い、普通は飛沫でも2m離れていれば落下するか乾燥して飛沫核になり感染力を失う。換気や除湿は乾燥化にも有効という。逆に湿度が高いと乾燥せず、コロナウイルスは浮遊粒子の中で数分から30分感染力を保持するという。細胞内でのウイルス産生量はインフルエンザの1/100と少ないので新型コロナはインフルエンザより感染力は低いのではないかという。>

どうも良く分からない。専門家が知っていても出さないのか、統一見解がないのか。まだまだウイルスの感染性の保持の条件については未解明の点が多いようだ。金属銅が不活化効果があるとのことで既にマスクに取り入れた製品も出てきている。WELLS理論の再検証もさらに行う価値があるようだ。密閉・密集・密接・の3条件下では当然空気感染も起き得る。今回の新型コロナ騒動で飛沫核と言わず「マイクロ飛沫」という用語も出てきている。空気感染の定義も再考すべき時に来ている。新型コロナウイルスの「乾燥への弱さの違い」は何か。鼻咽腔よりの検査検体は検出率が悪いので新たな検体採取法の開発も必要。

(R2.4,30.下記追加)
§§§§COVID-19は再発/再燃、又は持続潜伏感染もあるらしい。普通のウイルス感染症とは違うようだ。
 熊本市の女子学生が退院後再び陽性に、家族も感染 西日本新聞(2020/4/27 9:52 更新)  https://www.nishinippon.co.jp/item/n/603827/?fbclid=IwAR3c0iecioVqC4QGa2NCGB-TkQoDqHTmV2Yz1nJsUAtt8lGE68xoKCBsya8

  ニューヨークでは軽快退院した患者の2.2%(45/2081名)が再発/再燃して再入院したとのこと、退院したもののうち死亡退院は21%(553/2634名)、残りはなお入院中。
JAMA | Original Investigation Presenting Characteristics, Comorbidities, and Outcomes Among 5700 Patients Hospitalized With COVID-19 in the NewYork City Area. Published online April 22, 2020. Corrected on April 24, 2020.  
https://doi.org/10.1001/jama.2020.6775  
. 
 一般的には一度罹患すれば抗体等で免疫力が成立して再発リスクは低減していく。稀には持続感染や遅発発症等もあるけれど、此のCOVID―19は一筋縄ではいかない。すぐには収まらないという意味で新型インフルエンザより厄介なようだ。
確かに結核菌や水痘ウイルスは一旦感染すれば生涯体のどこかに住み続けるし、麻疹ウイルスのSSPEEやJCウイルスのPML、HPVの子宮頸がん等持続感染もあるが?

2020/05/12 追加訂正(これ重要!)
#サージカルマスク、#N95マスク、について
サージカルマスクについて、
日本においては医療用マスクを通称サージカルマスクと言い規格も法的な規定もないという。消費者庁の指導の下に「全国マスク工業会」が自主規制を設けているのみといい、性能試験の規定もない。全国マスク工業会では家庭用マスク(布マスクと不織布マスク)と医療用マスク(サージカルマスクと同意)とに分けているがどの製品がサージカルマスクに該当するのかの根拠はないという。https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000028s6j-att/2r98520000028uwa.pdf 。
従って次のように消費者庁の不当表示措置命令にも抵抗する大正製薬のような企業も出てくる。https://diamond.jp/articles/-/209236?page=2 。
また、令和2年4月には『京都新聞』2020年4月23日朝刊7面のようにサージカルマスクに適合する不織布マスクは1%しかなかったという不良品が出てくる。 またhttps://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00122/040600013/ にあるように、オランダが中国製マスク60万枚をリコールした等も起こる。米FDAも中国製「N95」規格マスクの緊急使用認める決定を撤回したhttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-08/Q9ZMTST1UM0Y01、という。マスクの規格については大混乱の最中である。COVID-19パンデミックで欧米のマスク不要論からの大転換の瞬間に今我々はいる。今は不織布マスクの性能はピンからキリまでで布マスクより性能が劣るものも沢山あふれてしかもそれに人々が群がり憑いている状況である。サージカルマスクについてアメリカではFDAによる登録制度はあるという。米国CDCは一般人のマスク不要論を頑固に唱えWHOもそれにぎりぎりまで追随していたがCOVID-19パンデミックで180°主張が逆転した。

N95マスクについて、
N95マスクは「医療用マスク」としてではなく「防じんマスク」として日本にも規定がある。
N95マスク、HEPAフィルターのの参照粒子径0.3μmについては、Official文書にも0.3μmφと書いてある。(例)<HEPAフィルター(High Efficiency Particulate Air Filter)とは、JIS Z 8122 によって、「定格流量で粒径が 0.3μmの粒子に対して 99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が 245Pa以下の性能を持つエアフィルタ」と規定されている。・・・https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/11/dl/s1126-6b.pdf 。>
<N95マスク(DS2規格マスク)について・・・マスク性能として、試験粒子(0.3㎛)以上を95%捕集できる。作業用で長時間の使用には向いていない・・・日本の労働安全基準に基づく防塵マスク規格DS2が相当する・・・
https://www.env.go.jp/air/osen/pm/info/cic/attach/briefing_h26-mat08.pdf 。>等とある。 

 しかし最近では、厚生労働省労働基準局の「防じんマスクの規格」(基発第0426第5号平成30年4月26日改正)https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-12/hor1-12-1-1-0.htm
という労働安全衛生法に基づく国家検定新規格によれば試験粒子はNacl(粒子径60~100mμ)orDOP(粒子径150~250mμ)と規定されている。これは https://www.safety-kinki.meti.go.jp/kouzan/downloadfiles/funjin/maskkaisei.pdf (経済産業省中部近畿産業保安監督部近畿支部の資料)によれば、この大きさの試験粒子が呼吸気流速の影響を受けて最も捕捉し難い粒子であるからという。

  使い捨てのN95マスクについても使用の場については意見が様々である、(N95マスク、着用に向かず「一般人は不織布で」―新型肺炎で専門家 https://www.jiji.com/jc/article?k=2020021000112&g=soc )。特に一部の専門家も分かっていないようである。動き回る現場で質の悪いN95マスクを強制するなど現場を理解していない証拠である。ダイアモンドプリンセス号の現場にて使用法を守らないと非難めいたコメントを専門家がするのはもってのほかで、PAPRを用意できなくて現場の人には申し訳ない、とでも言うべきことである。現に我慢しすぎて、「中国 マスクつけて体育の授業受けた中学生の死亡事故相次ぐ」2020年5月11日、https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200511/k10012424411000.html 、が現に発生している。実際、息苦しくても頑張りすぎる人や酸欠でも自覚症状の乏しい人がいる。数十年前トレッドミル検査をしていて大丈夫と本人が言いながら顔面蒼白になった例があり検査中止して後日緊急心臓バイパス術で事無きを得た事例を自分でも経験している。富士山の山頂でマラソンさせれば何人かは酸素需給バランスが耐性限界を超えて突然死するはずである。

 今回のCOVID-19パンデミックでサージカルマスクやN95マスクが不足したために再使用によって必要量を賄うように国から正式に許可が出たが、リサイクルの仕方には注意が必要という。N95マスクはアルコール消毒をするとサージカルマスク以下に機能が劣化するという。理由は物理的な穴の大きさだけでなく静電効果も関係した捕捉効果なので条件によって大きく変わり得るという。https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t344/202004/565271.html
これには反論もある。静電効果の問題ではなく、バキュウムで完全乾燥させれば機能回復するともいう。https://doi.org/10.1101/2020.04.12.20059709 。
 85℃加熱では50回行っても捕捉効果を保ち、紫外線消毒も10回までならOKという。
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.01.20050443v2.article-metrics
 
材質による帯電性能は、綿・羊毛・レーヨン・ナイロンは+帯電、アクリル・塩化ビニル・ポリエチレン・ポリスチレン・ポリエステル・ポリプロピレンは-帯電する。 3M社のN95マスク「3M 8200」はポリプロピレンの不織布という。
(静電気の豆知識 http://www.boron-labo.co.jp/documents/seidenki_no_mamechishiki.pdf )。
(原材料別の不織布の特徴 http://www.aaccuref.co.jp/color/index.html )。防じん機能も様々、換気抵抗も様々、法令規制がないのだから仕方ない。とにかく不織布製のマスクの再使用の機能劣化は要注意である。場合によったら布マスクより劣化し得るようだ。

日本も世界も医療用マスクの性能基準は企業の自主努力に依存する時代ではなくなったと思う。そうしないと、知らず知らずに機能劣化したサージカルマスクを使って気が付かないということになってしまう。おそらく今現在、藁にもすがる現実においては機能劣化品に気付かずに使っている場合も十分考えられる。


2020/5/19 追加。
COVID-19に対するPCR検査陽性イコール感染状態ではない、ということについて。

 新型コロナ感染症(COVID-19)の発生初期の頃はPCR検査陽性は感染症に罹患していると捉えていたが、実はそうではないらしいということが分かってきた。入院者の退院基準は相変わらずPCR検査陰性が義務つけられているが、軽症者の自宅療養者やホテル療養者はPCR検査不要でも差支えなくなり、たとえ検査陽性でも2週間を過ぎれば就業制限なしとなった。下記の2つの論文に理由が分かり易く説明されている。これが検証されて確認されれば素晴らしい。治療対応方法のトンネルから一気に抜け出せそうな明るい話題となった。長期の隔離期間が不要になり入院ベッド数や隔離施設の余裕ができる。
 ○ コロナ感染は発症前から発症5日が最多、6日以後はほとんど感染しない!
西伊豆健育会病院病院長 仲田 和正 https://medical-tribune.co.jp/rensai/2020/0514530231/ および
○ 国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那賢志医師の「コロナに罹ったら14日で復職OK」・・・ https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200504-00173758/ 、は下記の論文に基づいて分かり易く説明している。
・Temporal dynamics in viral shedding and transmissibility of COVID-19 https://www.nature.com/articles/s41591-020-0869-5 
・Contact Tracing Assessment of COVID-19 Transmission Dynamics in Taiwan and Risk at Different Exposure Periods Before and After Symptom Onset  https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2765641

今回のCOVID-19の治療現場ではPPE不足にて次の如く、https://www.kansashealthsystem.com/-/media/Project/Website/PDFs-for-Download/COVID19/PPE-Recommendations-Schematic.pdf 特殊な場合以外はサージカルマスクで対応している。日本も同様であるようだ。
一方治療の現場ではPCR検査で検出できる抗原はあらゆる所に検出される、https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/7/20-0885_article?fbclid=IwAR3JATR4eQoQcxLIMb-dHk4JL2Ww17d7nGYfwhxjojkae7J3L5BJA7zZv3c 。
治療現場ではPPE不足で不十分な装備で治療を余儀なくされているという悲惨な現場も多く聞かれるがその割にはクラスター発生が少ない。これは、PCR検査陽性イコール感染力を持ったウイルスばかりではないということ、現場では感染力のないウイルス抗原に予想以上に多く接触している可能性が高い等が推定されるが、上記の報告はそれを裏附けている。

 以前よりインフルエンザに於いて回復後もインフルエンザ抗原の排出が続いている例があることが報告されていた。極稀には持続感染があるとしても、一般には感染リスクがあるから既定の期間を過ぎれば出席・出勤停止の措置が必要とはインフルエンザの場合は言われてこなかったし、今まで実際この考え方で問題になってはいない。 同じような状況がCOVID-19にも言えるようなデータが出てきたようだ。

 今回のCOVID-19感染者の初期の退院基準は2回PCR検査陰性が必要とされていたが、わが国の職場復帰基準がR2.5.1.より変更された。退院患者のPCR検査は相変わらず必要だが軽症の自宅療養者は2週間過ぎれば状況によるが陰性確認のための検査が不要になった、https://www.mhlw.go.jp/content/000627457.pdf 。その根拠が上記の論文と思われる。

理屈上はN95マスクとサージカルマスクでは予防効果は天と地ほどに違っても良いわけであるが、現実にはその大きな差があることを実感できない。感染覚悟で家族に遷すことを恐れて家に帰らない医療者も多くいたようであったが意外と患者の感染力期間が短かったのは医療者にとって福音であった。

むしろ、N95マスクが本当に必要な所でPPE不足故に止むを得ずサージカルマスクで対応していた悲惨な現場がある一方で、サージカルマスクで十分な職場環境下でもN95マスク等重装備で神経質に対応していたり、という珍現象が多々見られたのに怒っていた時期が滑稽に思えてきた。必要のない場でもN95マスクが多用されていたりするのを見ると今でも複雑な気持ちにはなるが。
 いずれにしても新型コロナ対策には極めて明るい光明が差してきたようだ。6月中旬には収束するという一部の楽観的な予想が当たって第二波の感染爆発も来ないことを祈るのみである。世界がこの方向に行けば来年の東京オリンピックも開ける。

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