「予期」と「予見」は法的に違う、など。 ― 2023年08月05日
2023.8.5. アサブロ(facebookメモ2つ)
①(2023.8.4.facebookのメモ)
https://www.facebook.com/hidemasa.kuwabara/posts/pfbid0JuTXTh2JG6Yj3AbwKxPY7jeg4FLayu3C2NsxZeyvxNpGmGFYiqDtnerML7NroQTel?__cft__[0]=AZUh99UPc2wxilVUx9GjXUQgh1zhQw0HOs7dK5Us2-MDdEuDhGxhd7faUxAF7Ajc6JJCimVp7AqPZyIRNgSms_wnb5Ec7dM5To45XVR1UP38Pkz-ahjLxbohnnZUfgAQ1V-7QIjzyBwU38aUpp8JeOuO&__cft__[1]=AZUh99UPc2wxilVUx9GjXUQgh1zhQw0HOs7dK5Us2-MDdEuDhGxhd7faUxAF7Ajc6JJCimVp7AqPZyIRNgSms_wnb5Ec7dM5To45XVR1UP38Pkz-ahjLxbohnnZUfgAQ1V-7QIjzyBwU38aUpp8JeOuO&__tn__=%2CO%2CP-R]-R
医療の場では、「予期」と「予見」は法的に違うと、医師は現場の基本認識として捉えておいた方が良いと思う。
かつて医療においては、予期或いは予想できたのならばなぜおこなった、と責められた事例を見聞きして、それをまともに捉えれば我々は今後医療そのものが出来なくなる、と恐怖を感じたことがあった。かといって目の前には医療を必要としている人々が現に沢山いる。医療そのものには不確定要素が大小さまざまであろうが内在している。でもまさか本当に死ぬかもしれないと思って施療することなどは断じてない。万万が一でも予期して置いてそれを避けるための心構えで細心の心を砕きながら施療するのが当たり前であるからである。
でも法的に、予期で来ていたならば有罪、予期出来ていなかったならば無罪、との単純な捉え方はいかにも酷い、と思って現役時代は、紛争になった場合は予期出来ていたとは決して言ってはならない、と思っていた。純粋な医学的医療と社会学的医療は混同してはならない、自分はそう思ってこれまで区別してやってきた。
この、「予期」と「予見」を混同している人たちはいわゆる専門家の方々のなかにも少なからずいると思う。
下記の報告は、それを私達に知らしめてくれている、そう思う。
【識者の眼】「医療事故調査制度の『予期しなかった死亡』要件の『予期』を『予見』と混同してはならない」日本医事新報, No.5166 (2023年04月29日発行) P.60,小田原良治 (日本医療法人協会常務理事・医療安全部会長、医療法人尚愛会理事長) https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=21815 。
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② (2023.8.3.facebookのメモ)
https://www.facebook.com/hidemasa.kuwabara/posts/pfbid06NfVThd47ydaRzWdYQygU4Lbd1uwzd13qYDXn3c8e5B8bXPD3pSrb3xMrv3cqcRyl?__cft__[0]=AZWl1S4Wd1SKgNia8JYdEZD2hdOnBvz_QHlr7-H1ewJGFMMDLHhSIA_OJtDhJuXk3om5yka_srFOTnx9aQ9S9CHunmoSU_MjGx4h6xIgEzv9Jb35dE9FDngzEQhZTH2GheH62htUTp2zw5URjIPKExOPx3yg2HP8P3JMMVHRm1bTKBWUALpwUYx6ABb8glX2fFE&__tn__=%2CO%2CP-R
「高本眞一×佐藤一樹」対談◆Vol.4&Vol.6 M3.com医療維新2023年5月5/19日 ( https://www.m3.com/news/iryoishin/1132425 。)について、
特に、このVol4&6の対談後の補足のコメントの「佐藤一樹先生コメント」は現代医療の深奥の悩ましい点について現場感覚満載に記述されていて、是非一読をお勧めしたい。「患者中心の医療」なんて当たり前のことです。でもその当たり前が一人ひとりの頭に描くものが違い、運用の段階になると相反するものにさえなってしまう。これこそが問題で現場感覚が必要な所でもあると感じている。
(以下は蛇足です。かつて、不審死はなんでも警察に報告するようにとのことで当時の多くの医療系の全国学会が積極的届出の異状死ガイドラインを作成した時期がありましたが、問題が多すぎるとのことで殆どの学会がまもなく取り消したことがあった。唯一日本法医学会だけがその異状死ガイドラインを取り消さずしかも厚労省はその法医学会異状死ガイドラインを参考にするように指示していた。そして当然のことながら法医解剖が多くなり、ある朝のNHKテレビのインタビューでその法医学会理事長が法医解剖医が足りなくて困っていると嘆いているシーンが放映されていた。その時は、自らその状況を作り出しておきながら何を言うか、と腹立たしく聞いていたことがあった。そして、問題が大きくなり日本医師会はじめ様々な方面から追及された厚労省は追い詰められて?一部の病院を除いて法医学会異状死ガイドラインに従えと指示したことはないと居直った。そのために日本医師会等は矛を収め納得して問題は鎮静化したように見えた。しかしその後も毎年作成される厚労省の死亡診断書記入マニュアルには法医学会異状死ガイドラインを参考にするようにとの行がまだ残っていた。その後も私共はルールだからと遺族を説得してまで警察に届け出ていたが警察の性分で犯罪を前提において対応するために家族とのトラブルが却って多くなり、おそらく後日のための自己保身を考えてのことと思われるが、明らかに医療過誤や犯罪とは無関係でも強引に法医解剖に持っていくのが殆どであった。例えば現場では刑事も病院側も外因死でもなく医療過誤でもなく家族が強く解剖を拒否しているので強要しなくて良いでしょうと合意しても念のために警察の上司に許可を得たいと連絡すると裁判所の令状をとってでも法医解剖をやれとなり180℃態度が変わってしまう。ある裁判官に法医学会異状死ガイドラインは問題があるのではないかと聞いたこともあったが、その方は“僕は間違ってはいないと思う”と言っていた。法曹界はそう考えるのかと諦めて、困ったもんだと思っている中でのある年(2015年)に密かに?死亡診断書記入マニュアルから法医学会ガイドライン云々の行が突然消えていた(⑥)。あんなにそれまで頑固に変えなかった厚労省が何故に消せたのか、調べているうちに佐藤一樹先生に突き当たった。聞いてみるとそれまでやはり暖簾に腕押し状態が続いていた厚労省だったが偶々橋本岳議員政務官が知ることとなりその件を伝えた所すんなり消えたとのことであった。政治家の力の大きさに感嘆したことを覚えている。以来佐藤一樹先生と橋本岳議員の言動には心を傾けている。)
以下主な参考資料:
①医師法 21 条の問題点および判例動向について, 尾崎 孝良, 日医総研 Annual Report 2005 第1号 http://www.jmari.med.or.jp/download/9_ozaki.pdf 。
②医師法21条問題は新たなステージへ ~正確な解釈と適正な運用の周知をさらに広げる努力を~, 細田悟,東京保険医協会2013年01月25日 https://www.hokeni.org/docs/2016072400356/ 。
③田村厚労相らに医師法21条で公開質問状,M3.comレポート2013年1月25日 https://www.m3.com/news/open/iryoishin/165168 。
④死体外表に異状なければ警察届出義務ない――「医師法21条」解釈 厚労省が見解表明,東京保険医協会2013年01月25日 https://www.hokeni.org/docs/2016072400370/ 。
⑤死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル改訂の提言 ~その2~,佐藤一樹, 医療ガバナンス学会 (2014年9月6日 http://medg.jp/mt/?p=2637 。
⑥「死亡診断書記入マニュアル」がひっそり改訂
「医師法21条」の誤解、ようやく解消へ,日経メディカル,2015/06/30 https://medical.nikkeibp.co.jp/.../201506/542804_2.html 。
⑦「医師による異状死体の届出の徹底について」(平成 31 年2月8日付け医政医発 0208
第3号厚生労働省医政局医事課長通知)に関する質疑応答集(Q&A)について, 厚生労働省医政局医事課,平成31年4月2 4日 https://www.neurology-jp.org/.../pdf/news_20190513_02_01.pdf 。
(佐藤 一樹 5日 · シェア、拡散お願いします。著者フォローも。
東洋経済「診療に関連する死=医療事故」とはいえない理由 医師が解説「医療事故の仕組みと制度のこと」 東洋経済に不定期で投稿させていただくことになりました。一般人向けの記事です。 https://toyokeizai.net/articles/-/689775 医療事故調査制度をめぐり、不信な動きが出てきました。これに対しては、小田原良治先生が医事新報の「識者の眼」で投稿を継続されています。私のm3.comでの髙本眞一先生との対談もその流れの一つですので、以下もあわせてご高覧ください。「診療に関連する死=医療事故」とはいえない理由
TOYOKEIZAI.NET 「診療に関連する死=医療事故」とはいえない理由・・・)へのコメント。
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医療の場では、「予期」と「予見」は法的に違うと、医師は現場の基本認識として捉えておいた方が良いと思う。
かつて医療においては、予期或いは予想できたのならばなぜおこなった、と責められた事例を見聞きして、それをまともに捉えれば我々は今後医療そのものが出来なくなる、と恐怖を感じたことがあった。かといって目の前には医療を必要としている人々が現に沢山いる。医療そのものには不確定要素が大小さまざまであろうが内在している。でもまさか本当に死ぬかもしれないと思って施療することなどは断じてない。万万が一でも予期して置いてそれを避けるための心構えで細心の心を砕きながら施療するのが当たり前であるからである。
でも法的に、予期で来ていたならば有罪、予期出来ていなかったならば無罪、との単純な捉え方はいかにも酷い、と思って現役時代は、紛争になった場合は予期出来ていたとは決して言ってはならない、と思っていた。純粋な医学的医療と社会学的医療は混同してはならない、自分はそう思ってこれまで区別してやってきた。
この、「予期」と「予見」を混同している人たちはいわゆる専門家の方々のなかにも少なからずいると思う。
下記の報告は、それを私達に知らしめてくれている、そう思う。
【識者の眼】「医療事故調査制度の『予期しなかった死亡』要件の『予期』を『予見』と混同してはならない」日本医事新報, No.5166 (2023年04月29日発行) P.60,小田原良治 (日本医療法人協会常務理事・医療安全部会長、医療法人尚愛会理事長) https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=21815 。
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「高本眞一×佐藤一樹」対談◆Vol.4&Vol.6 M3.com医療維新2023年5月5/19日 ( https://www.m3.com/news/iryoishin/1132425 。)について、
特に、このVol4&6の対談後の補足のコメントの「佐藤一樹先生コメント」は現代医療の深奥の悩ましい点について現場感覚満載に記述されていて、是非一読をお勧めしたい。「患者中心の医療」なんて当たり前のことです。でもその当たり前が一人ひとりの頭に描くものが違い、運用の段階になると相反するものにさえなってしまう。これこそが問題で現場感覚が必要な所でもあると感じている。
(以下は蛇足です。かつて、不審死はなんでも警察に報告するようにとのことで当時の多くの医療系の全国学会が積極的届出の異状死ガイドラインを作成した時期がありましたが、問題が多すぎるとのことで殆どの学会がまもなく取り消したことがあった。唯一日本法医学会だけがその異状死ガイドラインを取り消さずしかも厚労省はその法医学会異状死ガイドラインを参考にするように指示していた。そして当然のことながら法医解剖が多くなり、ある朝のNHKテレビのインタビューでその法医学会理事長が法医解剖医が足りなくて困っていると嘆いているシーンが放映されていた。その時は、自らその状況を作り出しておきながら何を言うか、と腹立たしく聞いていたことがあった。そして、問題が大きくなり日本医師会はじめ様々な方面から追及された厚労省は追い詰められて?一部の病院を除いて法医学会異状死ガイドラインに従えと指示したことはないと居直った。そのために日本医師会等は矛を収め納得して問題は鎮静化したように見えた。しかしその後も毎年作成される厚労省の死亡診断書記入マニュアルには法医学会異状死ガイドラインを参考にするようにとの行がまだ残っていた。その後も私共はルールだからと遺族を説得してまで警察に届け出ていたが警察の性分で犯罪を前提において対応するために家族とのトラブルが却って多くなり、おそらく後日のための自己保身を考えてのことと思われるが、明らかに医療過誤や犯罪とは無関係でも強引に法医解剖に持っていくのが殆どであった。例えば現場では刑事も病院側も外因死でもなく医療過誤でもなく家族が強く解剖を拒否しているので強要しなくて良いでしょうと合意しても念のために警察の上司に許可を得たいと連絡すると裁判所の令状をとってでも法医解剖をやれとなり180℃態度が変わってしまう。ある裁判官に法医学会異状死ガイドラインは問題があるのではないかと聞いたこともあったが、その方は“僕は間違ってはいないと思う”と言っていた。法曹界はそう考えるのかと諦めて、困ったもんだと思っている中でのある年(2015年)に密かに?死亡診断書記入マニュアルから法医学会ガイドライン云々の行が突然消えていた(⑥)。あんなにそれまで頑固に変えなかった厚労省が何故に消せたのか、調べているうちに佐藤一樹先生に突き当たった。聞いてみるとそれまでやはり暖簾に腕押し状態が続いていた厚労省だったが偶々橋本岳議員政務官が知ることとなりその件を伝えた所すんなり消えたとのことであった。政治家の力の大きさに感嘆したことを覚えている。以来佐藤一樹先生と橋本岳議員の言動には心を傾けている。)
以下主な参考資料:
①医師法 21 条の問題点および判例動向について, 尾崎 孝良, 日医総研 Annual Report 2005 第1号 http://www.jmari.med.or.jp/download/9_ozaki.pdf 。
②医師法21条問題は新たなステージへ ~正確な解釈と適正な運用の周知をさらに広げる努力を~, 細田悟,東京保険医協会2013年01月25日 https://www.hokeni.org/docs/2016072400356/ 。
③田村厚労相らに医師法21条で公開質問状,M3.comレポート2013年1月25日 https://www.m3.com/news/open/iryoishin/165168 。
④死体外表に異状なければ警察届出義務ない――「医師法21条」解釈 厚労省が見解表明,東京保険医協会2013年01月25日 https://www.hokeni.org/docs/2016072400370/ 。
⑤死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル改訂の提言 ~その2~,佐藤一樹, 医療ガバナンス学会 (2014年9月6日 http://medg.jp/mt/?p=2637 。
⑥「死亡診断書記入マニュアル」がひっそり改訂
「医師法21条」の誤解、ようやく解消へ,日経メディカル,2015/06/30 https://medical.nikkeibp.co.jp/.../201506/542804_2.html 。
⑦「医師による異状死体の届出の徹底について」(平成 31 年2月8日付け医政医発 0208
第3号厚生労働省医政局医事課長通知)に関する質疑応答集(Q&A)について, 厚生労働省医政局医事課,平成31年4月2 4日 https://www.neurology-jp.org/.../pdf/news_20190513_02_01.pdf 。
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東洋経済「診療に関連する死=医療事故」とはいえない理由 医師が解説「医療事故の仕組みと制度のこと」 東洋経済に不定期で投稿させていただくことになりました。一般人向けの記事です。 https://toyokeizai.net/articles/-/689775 医療事故調査制度をめぐり、不信な動きが出てきました。これに対しては、小田原良治先生が医事新報の「識者の眼」で投稿を継続されています。私のm3.comでの髙本眞一先生との対談もその流れの一つですので、以下もあわせてご高覧ください。「診療に関連する死=医療事故」とはいえない理由
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