最近、某感染症専門医に送った資料のメモ2025年03月15日

2025/2/■
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■■■■先生 御机下

■■先生へ最近のワクチン行政への助言のお願い、

 突然のメールで失礼します。お願いがあってメールさせて頂きました。■■先生が不活化ワクチンは世界標準の筋注にすべきとのご意見は承知の上でのお願いです。先生のご指摘の通りに実際のワクチン行政が筋注に動いていることに対して一部危惧を感じている者ですが、御高名で発信力の強い先生故に是非高齢者施設の実態(医学的には筋注不可で医学的には皮下注になって仕舞う方「見做し筋注」が少なからずいるという実態)を知っておいて欲しいという思いからメール致します。(私は定年退職後に老健に勤務し、その最中にCOVID-19パンデミックを経験し、その老健も退職して今はアドバイザーとして週2日のみ関わっている78才内科医です。)

 SARS-CoV-2ワクチンの導入初期の当時は副反応がどの程度出るのか不明であったために私の職場(■■:入所者100名)で筋注の可否をエコー検査でチェックした所入所者の約3割が医学的に筋注不可(エコー検査で明瞭に判定可能です。医療上は「見做し筋注」とも言える?)という結果でした。
免疫学で高名な専門家(■■■■教授)に当時お聞きした所では免疫効果は同じなので筋注できなければ皮下注すれば良いのではないかと気楽におっしゃっていましたが、私達現場の医師は添付文書に違反していないかどうかは診療上大事なポイントです。万が一ワクチン注射が原因で死亡して訴訟になれば裁判官や検事はその違反をつきかねないことは明白なので、施設での初回のSARS-CoV-2ワクチン注射の時はその3割の方は医学的に非適応との理由でワクチン注射を私はしませんでした。このことは全国老人保健施設協会(全老健)の■■■■■会議にも議題として取り上げて頂きましたが(幸い知人がその一人であったため)、出席者全員が “何処かに筋注できる筋肉があるのではないか“ との一同の意見でその知人からはお役に立てず申し訳ありませんでしたとのご返事でした。■■の指導者達さえ認識していないという現実がその時にはありました。
当時私は万が一を考えて「見做し筋注を認めてくれなければワクチン筋注できない高齢者がいると官邸にもメールした上で医学的に筋注不可の約3割の方には初回の新型コロナワクチン注射はしませんでした。勿論官邸からの返事はありませんでしたが最悪の場合を考えての行動でした。2回目3回目と高齢者のワクチン実施率が上がって90%位迄きたのを知り世間では皆、見做し筋注を行っているという実態を確信してそれからは実質医学的には皮下注であっても私も見做し筋注という名目でワクチン接種を行うようにしました(勿論衰弱しきった方は別の意味で非適応。なお日本製のインフルエンザワクチンは皮下注でかつアジュバント非含有で副反応も弱いので希望があれば気に病むことなく衰弱高齢者にも行えております)。

 ■■入所者と言っても施設毎にその廃用症候群のレベルは様々で、私たちは他の■■では受け入れられない方こそご家族のためには受け入れるべきだという方針で受け入れてきましたので普通の風邪合併でも死に直結するような方も少なからず入所しておりました。■■を運営しているDr達でさえも廃用症候群の筋委縮の実態と筋注・皮下注の法令上の違いは認識していないことの証左でした。
 一方SARS-CoV-2ワクチンだけでなく、ここ数年の高齢者のワクチン行政は筋注限定に傾いていて昨年もPCV20が日本でも認可されましたがその添付文書には、小児は「皮下注ないし筋注/成人には筋注に限定」となっています。その状況については以前のPCV7から最新のPCV20に至るまで行政上の対応は同様でした。ワクチンの臨床試験自体が筋注のみで行っていますので添付文書記載の仕方も止むを得ないとも言えますが、それでは益々高齢化して医学的筋注ができなくなる高齢者が増えてくるという超高齢社会の現実から矛盾した行政対応になって仕舞うことは間違いありません。
 免疫力の衰えた高齢者こそワクチン接種すべきだという一方で、高齢者のワクチンを筋注に限定するのは、超高齢社会のフロントランナーである日本の在り方としては矛盾している医療行政と言えます。
ワクチン認可のための治験が外国ではすべて筋注で、日本においては小児で少しの皮下注・筋注の比較試験があるのみで皮下注を許可していますので、ワクチン行政は実態の逆を走っているとも言えます。このままいけば超高齢射会のフロントランナーの日本の役割が世界に向けて果たせなくなるのではないでしょうか。高齢者にも適応になるワクチンの場合は試験の段階での皮下注・筋注の比較試験も併せて行い、ひいてはワクチンの添付文書の用法を高齢者も「皮下注ないし筋注」との融通ある表現に改めて頂けるようにワクチン行政を預かる方々にアドバイスして頂きたくお願い申し上げる次第です。

 なお皮下注より筋注の方が副反応が少ないという筋注誘導への思惑が見え隠れする表現が専門家の間でもありますが、これも科学的な根拠に乏しい気がします。いくつかの治験データを見る限り有意差を認める副反応の違いはないようです。むしろアジュバントの違いや有無、そして筋注の方が深いので発赤や腫脹は目立ちにくいのが当たり前で局所疼痛という炎症効果の点では差がないということから見ても大きな差がないと取るのが順当ではないでしょうか(皮下注筋注の副反応比較資料は下記①②③)。
 (長文で申し上げ失礼しました。)

①2022年6月23日Hidemasa Kuwabara免疫学の専門家が初めて、筋注・皮下注とで免疫効果は違わない・・・ https://www.facebook.com/hidemasa.kuwabara/posts/pfbid025WQuzhedNw96r7YAx4gKEAAcF18LYjVozfsiLfTc2Q8rhdNsvErG8M9peYsfyLWgl?__cft__[0]=AZWmHUwiYlqH1-EZowhecj4HcLYUOwLKJeku-cEFCN-MG36R995QWvu3HQSUY77NrAdsdKpMIOxqtYOZPQoDz8IYeldmk7fdOHSQnRUOOB9xq1lGdm9-WXfqxIsHZStl6iI&__tn__=%2CO%2CP-R 。
②審査結果報告書平成21年9月8日医薬食品局審査管理課(沈降7価肺炎球菌結合型ワクチン)安全性について局所反応全身反応p51-53. https://www.pmda.go.jp/drugs/2009/P200900053/53039600_22100AMX02255_A100_1.pdf 。
③審議結果報告書 令和6年3月4日 医薬局医薬品審査管理課(沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン)7.2 国内第Ⅲ相試験p16-20. https://www.pmda.go.jp/drugs/2024/P20240327001/672212000_30600AMX00115_A100_2.pdf 。

ーーーー以上です。
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