免疫効果は皮下注・筋注で変わらない、エビデンスがないだけである。2022年07月02日

R4.7.2. アサブロ 

やっと、免疫効果は皮下注・筋注で変わらない、というオピニオンリーダーが現れた (2022/6/23 facebook のメモ)

免疫学の専門家が初めて、筋注・皮下注とで免疫効果は違わない、と初めてオピニオンリーダーとして言った。これまで他のいわゆる専門家の方々が、筋注の方が皮下注よりも免疫効果も上がり副反応も少ないと合唱のように言っていた。言うのは構わないがワクチン行政に反映されては困る方々がいることを忘れないで欲しいと常々思っていた。そしてそれが現実になったのが「プレベナー」認可の筋注だった。

肺炎球菌ワクチンは従来からあったニューモバックス®NP(PPV23)に加えてプレベナー13®(PCV13)が日本においても平成26年に使用認可を受け、学会もその細かい推奨使用法を云々しているが、そんなことより問題は、先立つべき使用法許可が筋注に限定されてしまったことだった。添付文書ではPPV23は従来より筋注又は皮下注だったが、PCV13は高齢者は筋注・小児は皮下注となってしまった(むしろ逆?)。医療行政担当者はるい痩高齢者には筋注のつもりが見做し筋注(即ち実質皮下注)になってしまう場合があることをご存じないとしか思えない。

訴訟社会では添付文書を無視して見做し筋注した時に万一問題が起これば、裁判官・検事・弁護士等の法曹関係者はそれを理解してくれない心配がある。筋注が容易な小児はどちらでも良いが、るい痩高齢者の場合はサルコペニアが高度で筋注したくてもできない方が少なからずいる。本来は免疫力が衰えた者こそ対象にすべき肺炎球菌ワクチンが、筋注指定することで逆に使用制限されてしまう。実際3年前(2年の間違い)の新型コロナワクチン開始初期には副反応の程度が不明ゆえに、筋注限定されたために見做し筋注には慎重になり、実際私の担当した高齢者介護施設ではエコーで筋肉の有無を確認して約1/3ができなかった。その後高齢者のワクチン接種率80%以上ということから見ても世間では見做し筋注を行っていたようで、結果としては副反応は少なく見做し筋注も問題にもされなかった。勿論見做し筋注も医学的には問題ないとは思っているが、拘っているのは訴訟になった場合耐えられるかどうかということである。

 (ワクチン行政に関してはWHOもCDCも日本の超高齢社会の現場の状況を理解していないとしか思えないが、どうもこれは日本が超高齢社会のトップランナーであること、日本では脱水防止のための末梢点滴が一般に容認されているために、医療控えであってもdry-sideで少な目に行うことで著明な延命効果をもたらしていること、と関係がありそうだ。結果、自身の貯えているエネルギーを細々と消費しながら枯れ木のようになって人生を終わることが少なくない、理想とさえ言われている。)

 このオンラインレクチャーの内容は、医療関係者というよりも、医療行政担当者と裁判官・検事・弁護士などの法曹関係者にこそ知って頂きたい医学的知識である。
 何故なら例えば、裁判官がせん妄の実態をおぼろげながらでも理解できていれば、2016年乳腺外科医事件(柳原病院事件)が一審無罪・二審(朝山芳史裁判長)逆転有罪などにはならなかったはずだと思っている。

(なお、副反応は筋注の方が少ないという点のみ、このレクチャーにも異を唱えたい。データによってばらつきがあるが、「 https://doi.org/10.1111/j.1348-0421.2009.00191.x 新型トリインフルエンザワクチンの第一相試験」(日本人健康成人120人、Alumアジュバント含有)、では、日本人の若い健常者の局所疼痛頻度は(筋注35%、皮下注37%)、局所発赤(筋注25%、皮下注67%)、局所腫脹(筋注7%、皮下注23%)、局所硬結(筋注2%、皮下注3%)、全身症状発熱(筋注8%、皮下注8%)、全身倦怠(筋注20%、皮下注30%)、頭痛(筋注18%、皮下注17%)、である。一般的には大きな差はないといった方がよい。Adjuvantの有無・成分・pH・体質・注射部位の浅深の違いなど別の要因の方を無視できない。

「 宮坂昌之「新型コロナワクチンに対する疑問に答える① 各種ワクチンの免疫学的効果」 https://www.jmedj.co.jp/movie/detail.php?id=59 」

(なお、このQ&Aの一つのQは自分である。 以前の関連アサブロ記事あり、反省も含めて載せておく:
〇 https://ku-wab.asablo.jp/blog/2020/11/11/9315455
〇 https://www.facebook.com/hidemasa.kuwabara/posts/pfbid02y865EqfhwxDzJftrDFo7Q1yYAR7LiHEG1tznUfiCwAYyjJsE4jaC4LtstXtN49Fvl?__cft__[0]=AZWEDIxo1ievcnxI_SYyCEYuVl1nphsHHDcxMbJDHxxlaCOQr4ekZudn7chI1S5_GXbPtS4A6-eQIhGEbwV3tuzkZ0i9Vc1XbXcCBQ3oSTQmlPRbCowoexRyjpC2doOIBT0BB7Pw8ymxU6XFbZGIrDdgQ3NmQyfAqHJZp8V9VR6fzw&__tn__=%2CO%2CP-R
〇 https://ku-wab.asablo.jp/blog/2021/03/19/9358533
〇 https://ku-wab.asablo.jp/blog/2021/06/16/9388503
〇 https://ku-wab.asablo.jp/blog/2021/06/18/9389164
〇 https://ku-wab.asablo.jp/blog/2021/07/18/9399139
〇 https://ku-wab.asablo.jp/blog/2021/03/19/9358533 )

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://ku-wab.asablo.jp/blog/2022/07/02/9505278/tb