かけがえのない、ということ。2017年06月25日

      かけがえなないひと

 かけがえのない(この上なく大切な)という言葉についてあらためて考えさせられた。ひと・もの・こころ、いくつかのことについて使われるこの言葉はその本人にしか分からない心情と思うけれども、日本人であれば何となくわかった気持ちになれる言葉でもある。その意味で市川海老蔵さんの心情は誰でも分かると思う。
 寿命を全うし亡くなられる方でもご家族にとってはそのかけがえなさは他人には何となくしかわからないとも思うけれども分かろうとする努力はできる。今自分は高齢者介護の仕事をしている。明日にでも亡くなる方から、死からはなおほど遠い方まで様々である。そんな中で介護者が肝に銘じて理解すべき基本的な必須の資質として相手の尊厳・安心・満足を掲げている。死を直前にしてもなお凡ての方には希望がある又は持ちうるし、その状況に合ったリハビリいわゆる終末期リハビリも価値あることであり、命の長い短いでの差もない、などを時あるごとに職員と確認をするようにしている。でもどうしたら、どう話したら分かってくれるのだろうと時々不安にもなる。どんなに偉い人でも人は経験したことしかイメージはできないから。昔からペンは剣よりも強し、というが、言葉の力がまた身に浸みた。先日小林麻央さんが亡くなった。大きなニュースになっていて知らない人はいないと思うけれどもBBCへのご本人のメッセージも流された。自分の浅薄な多くの言葉よりもこのメッセージだけで十分と思い、またご家族のかけがえのないひとということの重みは他では計り知れないものなのだろうとも思う。
ずーと忘れないように記録しておこう。

http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-38073955
2016年11月23日
病気によって生きることへの考え方が変わったという小林さんが、BBCに思いを寄稿した。
2年前、32歳の時に、私は乳癌であることを宣告されました。娘は3歳、息子はまだ1歳でした。「治療をして癌が治れば、元の自分に戻れるのだから、大丈夫!」と思っていました。けれど、そんなに簡単ではありませんでした。今も、私の身体は、がんと共にあります。私は、テレビに出る仕事をしていました。病のイメージをもたれることや弱い姿を見せることには「怖れ」がありました。なので、当時、私は病気を隠すことを選びました。
隠れるように病院へ通い、周囲に知られないよう人との交流を断ち、生活するようになっていきました。1年8か月、そんな毎日を続けていたある日、緩和ケアの先生の言葉が、私の心を変えてくれました。「がんの陰に隠れないで!」私は気がつきました。元の自分に戻りたいと思っていながら、私は、陰の方に陰の方に、望んでいる自分とはかけ離れた自分になってしまっていたことに。何かの罰で病気になったわけでもないのに、私は自分自身を責め、それまでと同じように生活できないことに、「失格」の烙印を押し、苦しみの陰に隠れ続けていたのです。それまで私は、全て自分が手をかけないと気が済まなくて、全て全てやるのが母親だと強くこだわっていました。それが私の理想の母親像でした。けれど、病気になって、全て全てどころか、全くできなくなり、終いには、入院生活で、子供たちと完全に離れてしまいました。自分の心身を苦しめたまでのこだわりは失ってみると、それほどの犠牲をはたく意味のあるこだわり(理想)ではなかったことに気づきました。そして家族は、私が彼らのために料理を作れなくても、幼稚園の送り迎えができなくても、私を妻として、母として、以前と同じく、認め、信じ、愛してくれていました。私は、そんな家族のために、誇らしい妻、強い母でありたいと思いました。私は、闘病をBlogで公表し、自ら、日向に出る決心をしました。すると、たくさんの方が共感し、私のために祈ってくれました。そして、苦しみに向き合い、乗り越えたそれぞれの人生の経験を、(コメント欄を通して)教えてくれました。私が怖れていた世界は、優しさと愛に溢れていました。今、100万人以上の読者の方と繋がっています。人の死は、病気であるかにかかわらず、
いつ訪れるか分かりません。例えば、私が今死んだら、人はどう思うでしょうか。「まだ34歳の若さで、可哀想に」「小さな子供を残して、可哀想に」でしょうか??私は、そんなふうには思われたくありません。なぜなら、病気になったことが私の人生を代表する出来事ではないからです。私の人生は、夢を叶え、時に苦しみもがき、愛する人に出会い、2人の宝物を授かり、家族に愛され、愛した、色どり豊かな人生だからです。だから、与えられた時間を、病気の色だけに支配されることは、やめました。なりたい自分になる。人生をより色どり豊かなものにするために。だって、人生は一度きりだから。(写真提供 小林麻央さん) 
<解説>大井真理子 BBCニュース

 ニュースで聞いた小林麻央さんのメッセージを探している中でこんな言葉にも出会った。「私は確実な(外胚葉異形成症の)対処方法を見つけました。それは自分の体をどう認識し受け入れるのか、どう見えてどう機能するのかを考えるだけです」とゲイドスさんはハフポストUS版に述べた。ゲイドスさんは、自身の話を通じて、他の誰かが「与えられた自分の体に満足する」ことができるようになればと願っている。アメリカ・シアトルを拠点に活動するモデルのメラニー・ゲイドスさん(28)は髪、爪、歯、肌、汗腺の正常な成長を妨げる「外胚葉異形成症」という遺伝性疾患を抱えて生まれた。