社会の多様性、という言葉から思い浮かべること。2020年12月10日

社会の多様性、という言葉から思い浮かべること。

 50年以上前の自分が高校生の頃のことである。当時は県営の木造学生寮が都内にあったが、そこでの冬の出来事である。
 一部屋4畳半くらいであったろうか、たしか2人ずつの相部屋で構成されていて、暖を取る石油ストーブが部屋の中央に置かれ両脇にはその寮生のベッドが置いてあった。
 その一室に他部屋の寮生たちも集まって雑談していた時のことである。
 何かの拍子にその石油ストーブが倒れ石油が漏れ出して炎が立ち上がり全員が一瞬驚いて逃げ出したという。その時に反応がちょっと遅れた一人が逃げ出す前に傍にあった布団を覆い被せたところ、炎が一瞬抑えられた。それを見て、いったん逃げ出した寮生たちが冷静になり戻った。そして布団をめくったら再び炎が上がったので皆が驚いたが、今度は布団をかぶせた本人が慌てて一人逃げ出したが、最初に逃げ出した寮生たちが冷静を取り戻し全員で協力して消火して事なきを得たという。
 自分もその寮には何度か行ったことがあり、その部屋のイメージも彷彿として今でも思い出されるが、ごく身近のその寮生に聞いた話である。
 世の中は、色々な人がいて一人では決して味わえない良さもあること、色々な人がいて初めてバランスの取れた良い社会が構築されているということ、これらを教えてくれたエピソードとして、今でも多様性という言葉を聞くと思い浮かべ、心が暖まる。

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